防球ネット計測・新種目競技場建設     

受付時間
9:00~17:00
定休日
土曜・日曜・祝日
お電話でのお問合せはこちら(代表)
03-3417-8111

技術情報 飛球シム(防球工事:安全配慮義務違反・高価な工費の解説)

■現在の「安全」管理

近年、『防球』シミュレーションのお問い合わせを頂戴する機会が かなり増えています。

そのお話の中で感じるのは 時代が移ろい、「安全管理義務」への解釈が変わりつつあることもひとつの理由と感じています。

私達の施主様には 学校法人が多くあります。

現代(いま)では、都市部への人口流入、人口の片偏りの結果、かつては学校近隣にはなかった住宅が ひしめくように建っている光景はごく普通のこと。

学校側はより良い環境を求め、一度は郊外キャンパスへ移転したものの、現代の少子化によって 再度、都市部へ一部キャンパスを再統合されている学校もあります。

「住む」自由(日本国憲法 第22条)と 管理・占有者の「安全配慮」義務。

近隣住民の方々と管理占有者である施設や学校側は、そのバランスに向き合い共存しなければならない時代になったと感じています。

スポーツ事故裁判例

『 サッカーボール訴訟 』

■事故状況 : 学校校庭から校外へ出たサッカーボールをよけようとして被害者が転倒.後に 死亡

■訴訟 : そのボールを蹴った児童の両親へ損害賠償を求めた裁判

2015年4月、約8年を経て ようやく最高裁で結審に至りました。

その裁判の中では、学校の施設管理責任も検証されました。

今は、到底、予見できないことまで 想定しておかなければなりません。

プロだって 練習中にはボールを大きくそらすことはあるんです。

ご遺族も、被告となったご両親も お気の毒でしたが、

その当時 小学生だった児童の“心”を想うと なんともやり場のない裁判でした。

 

スポーツ事故では、① 施設の管理状況 ② 人的管理に “十二分”な 予測まで含めた注意義務が払われていたか否かが問われます。

また、球技スポーツの使用球は どれもが思う以上に硬いもの。

まったく期せずして その球が 突然当たれば、「石」と同様でしょう。

『 ファウルボール 訴訟 』

■1 : プロ野球観戦中にファウルボールが右目を直撃し、視力が低下

■ 判決内容 : 「フェンスの高さやファウルボールへの注意を促す看板設置は、球場として通常備えるべき安全性を備えている。安全対策に合理性が認められる場合、来場者に危険なことが起きても球場設置者にとっては不可抗力である」

2 : プロ野球観戦中にファウルボールが当たり、顔面骨骨折・右眼球破裂により右目を失明

■ 判決内容 : 「内野席前のフェンスではファウルボールを遮ることはできず、球場設備は危険を防止するに足りず、安全性を欠いていた」

このような致傷事故や 他人へ損害を与えること(ガラス、家屋、車などの破損)は どれもが偶発的なものであり、その予見はかなり難しいことです。

『防球』設備を備えたとしても、それだけでは安全配慮への注意義務が果たされたのではありません。

例えば、野球の試合ならば 打球の起点はホームベース周囲ですが、練習時に他の位置を使うこともあるでしょう。

また、サッカーやラクロスなどでは そのボールの起点が広範囲となるほか、ゴールポストに当たったボールが予想外の方向へ跳ねてしまうこともあります。

リスクマネジメントの現代基準は、起こりえない想定まで含む 安全への管理義務、使用ルールの策定が求められる時代になりつつあります。

私共は、施主様とご一緒に“十二分”な「安全」への配慮について突き詰め、スポーツ関連の事故を少しでも減らせることを切望しております。

高額な「防球ネット」工事

6~7年前までは、施工社がグラウンドから場外への飛球を おおよその想定値と ご予算次第によって、防球ネットの高さを設定することがほとんどでした。

それでも 想定外は起こりうるもの。

現在、他の施工社の設置では、昨今の様々な事故状況が報じられるほどに「安全」マージンを確保する方向にあります。

それゆえ、高額な設置工事を行っているであろうにも関わらず、その抑止効果が十分ではない『防球ネット』を 数多く目にするようになったことも事実です。

また、これは 確か 新聞で いい話の記事として目に止まったものだったと思いますが、

長距離バッターが入学して、予想以上の特大ホームランを連発したことで 慌てて PTAから工事費を募り、早々に『防球ネット』を増築したそうです。

確かに、15m未満の高さまでならば ネット部分のかさ上げ工事は 変更の届け出義務がありません。

でも、「構造計算」の再調査は充分だったのでしょうか?

野球の『防球ネット』工事は 大きな建造物となるため、煩雑な申請作業も多く、総工費の中でも大きなウェイトとなるだけに より安価にしたい、短期に完了したい旨のご希望は 重々 理解致しております。

弊社独自の『飛球シミュレーション』プログラムは、当初、必要な限度を測ることで 無駄な建造コストを削減しようという目的が 開発のきっかけだったのです。

もしかしたら、2度手間で 結果的に高価となってしまった「かさ上げ工事費」は事前に判定できていたかも知れません。

 

■一般的な「防球ネット」概算工費

 【拡大】

 【拡大】

 【拡大】

防球ネットの高さと建設費の相関

 【拡大】

『飛球シミュレーション』の必要性

防球ネットの設置目的は いたって 明確です。

グラウンドでの球技によるボールを場外へ出さないため。

あるいは場外、場内の特定の部分に 飛球が到達することを妨ぐことです。

しかし、防球ネット工事は、総工費の中では 高価につきます。

でも、施工社と施主様が 不確かな“念のため”に 過分な工費を費やすことはありません。

グラウンドの利用者の技量に基づいた より精度の高いシミュレーションを行うことで、より確実な防球ネットを無駄なく設置することができます。

それは現代の感性/関係、つまりは「安全配慮」義務を果たすため。

さらには、最も 対価としてリーズナブルな「適価」を求める 有効なツールとしてご利用いただきたいと考えております。

■ ご質問、お問い合わせは お気軽に下記までお願い致します。

私が解説します!

顧問;後藤 正臣 (ごとう まさおみ)

昭和30年3月13日生/日本工業大学工学部・建築学科 卒

武蔵丘短期大学客員教授(スポーツ施設論)

(公財)日本体育施設協会 体育施設管理士養成講習会 講師

(公財)日本体育施設協会 屋外体育施設部会 副部会長

(一社)日本運動施設建設業協会 登録運動施設基幹技能者登録講習会 講師(平成22年~現在)

NPO法人 スポーツ施設サイエンス三重研究所 理事 主任研究員

資格等:一級土木施工管理技士/一級建築施工管理技士/一級造園施工管理技士/体育施設運営士(公)日本体育施設協会/建設マスター