Field & Technology 〈技術情報〉


 
■飛球シミュレーションの必要性
 
グラウンドの防球ネットは、近年 どんどん高く高尺になっています。

野球場では40mを超えるものも多々作られています。

「防球能力」は、近隣への迷惑防止がその目的ですから、常に 完璧・完全なものが求められます。

当初より、かなりの高さで計画したのにもかかわらず、グラウンドを使用開始したところ、短期間で防球ネットの嵩上げなどの改修工事が発生したグラウンドもありました。

実際に使用するまではどのような飛球が外に出るのか、様々なファクターによってまだまだ解明できないものであることも事実です。

それだけに設計時には、できる限り各々の現場の条件を調査した上で、実際条件に近づけた形で飛球の飛跡を検証しています。

私共が専業として独自プログラミングを施したコンピューターを介し、多数の条件を入力したシミュレーションをする必要があるのです。

 
■ボールの運動;例/野球の場合
 
打球も叩かれてつらいのかも。

ボールはピッチャーにより投げ出されて、それがホームベース上でバッターの渾身の力で叩きのめされます。

そのとき加えられた力は、進行方向には空気による抵抗を受けます。

この抵抗といったら半端ではない。

球速が180㎞/hとして、あなたは180㎞/hで走る車の窓から表に手を出せますか?

60㎞/hだって、手は相当な力で後方に持っていかれます。

180km/h ならだれも経験したことのないような力です。

ボールはこの抵抗力の他に垂直方向には引力によって地面に引き戻されます。

そこに風も加わったりと押し流された、戻されたりしながら飛んでいるのです。

理論を言葉にするとこうなります。

重力と空気抵抗と風が働く場合(向風) 打球初速V0に鉛直下向きにボールの重力mgと、飛球速度の二乗に比例する慣性抵抗k1v2がボールに働き、向風ではボールに対する相対速度Vが増大し抵抗力が増す。
 
■ところが、シミュレーションのようにはならない!?
 
せっかく行う飛球・飛跡の検証ではありますが、シミュレーションとぴったり一致することはまず起きていません。

「何故?」かって、それは、シミュレーションでは気圧ですとか、重力、風速、打球初速などを決めて行うから。

自然界ではまったく同じ条件なんて現れません。

でも、やらないよりはずっと安心。

シミュレーションは実際に起きることの“近似値”なんです。

 
打ち出し垂直角40度で飛距離120m級の打球は次のようになります。
 
次に、ホームラン級のスイングで全方向に打った飛球の場合は下図のようになります。
 
 
バックネット付近の飛球の高さは60mを超えてきています。これでは「防球ネット」だけではとても止められません。


部活動など、日頃練習に使うグラウンドでは、ホームベース上までかかる天井ネットが有効であることがシミュレーション上でも解ります。
 
天井ネットがない場合の飛跡 天井ネットのある場合の飛跡
 
その他にもグラウンドの周辺環境に合わせてシミュレーションを応用してみましょう。
 
防球ネットの高さで全ての飛球を止める 道路に落下しそうな飛球だけ止める

 
道路には絶対に飛球を落としたくない時に  
 
 
   
 
さらに特定の防球対象物に対してシミュレーションを行うことにより、サッカーなどでも、このコンピューター・シミュレーションを応用することができます。
 





 
専務取締役;後藤 正臣 (ごとう まさおみ)

昭和30年3月13日生/日本工業大学工学部・建築学科 卒

武蔵丘短期大学客員教授(スポーツ施設論)
(公財)日本体育施設協会 体育施設管理士養成講習会 講師
(公財)日本体育施設協会 屋外体育施設部会 技術事業委員会委員長
(一社)日本運動施設施設協会 登録運動施設基幹技能者登録講習会 講師(平成22年~現在)
NPO法人 スポーツ施設サイエンス三重研究所 理事 主任研究員

資格等:一級土木施工管理技士/一級建築施工管理技士/一級造園施工管理技士/体育施設運営士
(公)日本体育施設協会/建設マスター





 
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